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TSUKUBA CREO SQUARE OUTLINE つくばクレオスクエアプロジェクト概要 最新インタビュー「インサイドつくばクレオスクエア」
荒井幸雄氏 商業空間プロデューサー
あらい ゆきお あらい ゆきお
1973年明治学院大学 経済学部商学科卒業
株式会社エム・エス・シー代表取締役社長
トリトンスクエアを始め、商業施設の総合プロデュースを多数手掛ける。
連絡先=株式会社エム・エス・シー 
渋谷区代々木3-36-8 東高代々木ペアシティB棟512
TEL 03-5308-9510 arai@msc-tokyo.co.jp


そもそもオーブが「つくば都心地区商業開発計画(現つくばクレオスクエア)」に携わらせていただくきっかけになったのは、1999年晩秋、株式会社エム・エス・シー新井氏の一言でした。当時、晴海トリトンスクエアの開発において、リーシングも含めた総合プロデュースを担当されていたエム・エス・シーと、低層部のデザイン部隊の一員であり商業コンサルタント業務のハード担当でもあったオーブとは、毎日楽しくケンケンガクガク闘う日々を送っていたものです。今日は、少しでもプランに納得いかない点があると吼えることから、つくばの“暴れん坊将軍”の異名を取る新井さんにインタビューさせていただきます。
株式会社エム・エス・シーオフィスにて


−「ナベちゃん(オーブの社長のことです)つくば行った事ある?つくばはなかなか凄いんだよ。」と言うのが、新井さんのつくばに関する第一声でした。どのへんを“凄い”と睨んでいたんですか?
新井 オーブに声を掛けるずっと前からつくばのプロジェクトには関っていて調査はしてたんだよ。あの地域は北は水戸、南は柏に行くまで百貨店がないし、とりたてて人口密度も高くない。そんな中で、1985年のオープン以来、クレオ(西武百貨店とジャスコを核店舗とし30の専門店からなるショッピングセンター)が売上げとして200億円を優に超える規模のマーケットを作り上げてきた。見掛け以上に拠点性は凄く高いんだよ。


−居住者にも特徴はあるんでしょうか?
新井 所得水準も高いし、学歴も高い。でもそれ以上に可処分所得が高い。つくば周辺にルーツを持つ人々だけじゃなく、研究学園都市に赴任してくる人も公務員住宅か社宅に住んでいて、要は衣食住の「住」にはコストがかからない。クレオのお客様アンケートでも、より感度が高い、またはよりスペシャリティ性の高い専門店を望む声がかなり出てるくらいで、ニーズ的にまだまだクレオだけでは答え切れていない可能性が大きかったね。


−そんな状況で、仮にキュートの開発がなされない場合は、つくばエキスプレスによって商業的には流出と言うマイナス面のほうが強くなる恐れもあったのではありませんか?
新井 その通り。せっかくクレオが築き上げた拠点性が、マーケットのニーズに答え切れていないために、柏と言わず東京都心までに流れてしまう恐れは十分にある。だけど、ただ専門店増やして“モノ”を揃えりゃ良いってもんでもない。買物をしに街に出かけるということ自体が楽しく時間を消費できるエンターテイメントなんだから、都心に行かなくても一日わくわく過ごせる事が大事なんだよ。商業核としてクレオがすでにあって、つくばエクスプレスの駅が”へそ“として定まるんだから、”街を楽しむ“という要素こそが欲しい。で、オーブに声を掛けたんだよ。


−うちの前にも、うちみたいな”馬の骨“どころじゃない有名どころとプランニングを進めてたんですよね?
新井 うん、ちょっと今のキュートの敷地ではないんだけど、やはり研究学園都市にふさわしい斬新で作家性の高い建物を、という意向も一部あったからね。ただ、一言で言うと事業性という観点からどうもうまくいかない。レンタブル比がとんでもなく低かったり、店舗に貸しにくい場所だらけだったり。どんなに建築的に評価の高い建物でも、事業的に失敗しては商業施設としての評価はゼロだからね、商業コンサルとしては推せないよ。それで、つくばエクスプレスのスケジュールが明快になってきて、今のキュートの敷地が開発の第一候補になったときに、商業施設とか複合型の都市開発に詳しいケンチクヤとパイロットプランを作ったほうが良いということになった。ショップの力を活かす骨格を作ってもらうには、業態的な特性とかもわかっている人間じゃないと。


−それ以来、2002年の秋に基本構想が固まるまで、10や20じゃきかないくらいいろんな類型、いろんなプランのスタディをしましたよね。不思議だったのは、当初から元来与えられている容積率(400%)を食いきったプランを求められなかった事です。実施設計案もかなり容積的には余しています(250%強)。
新井 ひとつには、すでにあるクレオとモグ、新たに出来る駅とを有機的に結ぶ”街”こそ求めれれるわけだから、容積をすべて使い切ったは良いけど、キュートが完結型の箱になってしまっては、かえって相乗効果が得られない危険があるだろ。その上で、キュート自体の投資と回収のバランスがうまく取れれば良い訳で、容積率を目一杯に使ったマックス・ヴォリュームありきのプランに固執すべきではない、なんて唸ったんだよな。クライアントにとっても大きな決断ではあったとは思うけど、そのおかげで設計は楽しかったろう?でも、リーシングが進んでいる今なら、もうワンフロアあっても十分にまだ魅力的なテナントさんを増やせるぐらいのポテンシャルはあったかも。


−いや、いくら“暴れん坊将軍”のお言葉とはいえそんな大胆な設計変更は勘弁してください(笑)。次に取っておきましょう。
新井 次があるのか、どうなるかはともかくとして、本来、つくばの都心がより街としての魅力を備えるには、より時間消費型の都市文化的要素や、交通拠点という立地も考えた都心型生活利便機能も重要なんだよ。キュートの住民説明会でもシネマコンプレックスが欲しいと仰った方がいらしただろう。テナントからもそういう声は上がっている。でも、キュートにボリュームを食うシネマコンプレックスやホールみたいなものを入れようとすると、キュートが目指しているヒューマンスケールな街並みと言う最大の個性を損ねてしまう。今までの車で“箱”まで行って、“箱”の中で行動が完結してしまうというパターンから、取り立てて目的がなくても歩き回って楽しい街がキュートによって生まれていけば、自ずと街は動き出すんだよ。


−そうですよね、せっかくペデ(歩行者用専用道)という稀有な都市骨格もすでに持っているんですしねぇ。それに、もう少し面的とまで言わなくとも線的にでも街並みが連続してくれば、今はものすごく場所によって偏っている駐車場の利用率も平均化してくるだろうし、早めに車を降りて歩いてもらえると思うんですけどねぇ。この次は、プランの評価だとか、この当たりが見所だとか、より具体的なキュート像についてお聞きしたいと思います。今日はありがとうございました。


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